IP圧縮規格RISTとは
RIST(Reliable Internet Security Transport)はSRTと同じくARQ(自動再送信要求)の技術が採用された伝送プロトコルです。現在、SRTなどのIP伝送には各メーカーが定めた規格・ソリューションが多く存在しており、互換性がないものばかりですが、RIST規格を定めたVSF(The Video Service Forum)に参加しているメーカーであれば、Cobalt Digital社以外にも数多くのメーカー製品と相互運用することが可能となります。
また、RISTにおける伝送方式にはRTPを採用しており、RTPベースのシステムであれば、RIST規格を採用していないシステムとの相互運用も可能です。ファイアウォールを挟んでパブリックなネットワークに接続することができます。
Cobalt Digital社の提供するRIST対応エンコーダ/デコーダには、圧縮の段階で暗号化の機能が搭載されているため放送局などでは、別途セキュリティ機器を用意することなく、安全性が担保された環境で高品質な映像のIP伝送が可能になります。

RIST v.s. SRT 比較表
| RIST | SRT | ||
|---|---|---|---|
| ベースプロトコル | RTP/UDP | UDT/UDP | |
| ユニキャストストリーミング | 〇 | 〇 | |
| マルチキャストストリーミング | 〇 | × | RISTはネイティブでマルチキャストに対応していますが、SRTはユニキャストしか対応できません。 |
| ストリーミングIPの保持 | 〇 | × |
RIST TR-06-01はマルチキャストストリームに直接適用できます。 RIST TR-06-02/03はマルチキャストを含む完全なIPパケットを通過できます。 |
| 遅延調整機能 | 〇 | 〇 | |
| パケット再送信の調整機能 | 〇 | 〇 | |
| パケットロス耐性の上限 | 40~55% | 12~15% | |
| FEC対応 | 〇 | 〇 | |
| ファイル転送 | 〇 | 〇 | RIST TR-06-02/03は様々なIPパケットやファイル転送にも対応しています。 |
| 双方向通信 | 〇 | × | SRTは片方向ですが、 RIST TR-06-02/03 ではユーザーが双方向からパケットを送り合うことができます。 |
| ストリームの多重化 | 〇 | 〇 | |
| パケットフィルタリング | 〇 | × | RIST TR-06-02/03はセキュリティを脅かすIPパケットをブロックすることが可能です。 |
| PSK暗号化 | 〇 | 〇 | |
| DTLS暗号化 | 〇 | × | RISTはAES-256と証明書による認証に対応しています。 |
| ST2110対応 | 〇 | × | RIST TR-06-02/03は拡張ヘッダーでネイティブのST2110 に対応しています。 |
| 巨大なバッファーサイズ | 〇 | × | RISTは32bitバッファまでサポートできるので、高いビットレートの映像伝送が可能です。 |
| 冗長性 | 〇 | × | SMPTE 2022-7による冗長性に対応しております。 |
| SMPTE 2022-7対応 | 〇 | 〇 | RISTは系統数に上限はありませんが、SRTは2系統までです。 |
| ロードシェア (負荷分散) | 〇 | × | |
| ダイナミックロードシェア | 〇 | × | |
| セキュアアダプテーション | 〇 | × | |
| セキュアマルチキャスト認証 | 〇 | × | |
| フラグメンテーション | 〇 | × | RIST TR-06-03 |
| IPv6対応 | 〇 | × | RIST TR-06-03 |
| プロトコルのカプセル化 | 〇 | × | RIST TR-06-03 |
| フロープライオリティ | 〇 | × | RIST TR-06-03 |
| メイン/バックアップストリーム | 〇 | 〇 | |
| フローの識別 | 〇 | × | RIST TR-06-03 |
| フローの促進 | 〇 | × | RIST TR-06-03 |
| 規格化 | VSF | Haivision | VSF (Video Service Forum) は各プロバイダーが集まった、国際的な団体です。 |
| オープンソース | 〇 | 〇 | |
| FFMPEG | 〇 | 〇 | |
| VLC | 〇 | 〇 | |
| GSStreamer | 〇 | 〇 |
Synchronized Multi-Stream Transport

Cobalt Digital社の提供するRISTプロトコルは、複数のデコーダを同期させることが可能です。
複数のデコーダを同期することで、それぞれのエンコーダから伝送される映像のフレームに差異を生じさせることなく、映像を表示させることができます。
これにより、スポーツや講演などの中継現場では、複数のカメラで撮影した映像を同期させて、リモート制作作業に入ることや、マルチビューワに表示させることが可能になります。
このような技術は多くのメーカーが独自のプロトコルで対応していますが、Cobalt Digital社のエンコーダ/デコーダでは、オープンな仕様であるRISTプロトコルを使用した環境で、複数の映像パケットを同期させることができます。
また、Cobalt Digital社の提供するRISTプロトコル対応エンコーダ/デコーダには、圧縮の段階で暗号化の機能が搭載されているため、放送局などでは別途セキュリティ機器を用意することなく、安全性が担保された環境で高品質な映像のIP伝送が可能になります。

