フレームシフト

フレームシフトって?

映像作品にとって、その作品が記録された「データの品質」はとても重要な要素です。視聴中に突然、映像が途切れたり乱れたりしてしまうと、その作品が持つ芸術的な表現やメッセージ性に直接、悪影響を及ぼし、視聴者は一気に現実の世界へと引き戻されてしまいます。こうした「視聴体験の質を低下させてしまう問題」のひとつに「フレームシフト(ブランキングシフト)」があります。このコラムでは、フレームシフトの概要とそれがもたらす影響、そして、この問題を解決する上でQCソフトウェアが果たす重要な役割についてお話しします。

フレームシフトを理解する

レターボックスやピラーボックスで見られる“上下左右の黒いバー”を除いた映像部分は一般的に「アクティブイメージ」と呼ばれますが、フレームシフトとは、アクティブイメージが画面内で縦横 、またはどちらか一方の方向に断続的に移動してしまう技術的なエラーのことを意味します。通常、映像作品が持つアスペクト比と縦横比が異なる画面でその作品を視聴する際には、正確なアスペクト比を持ったアクティブイメージが生成されるよう、上下または左右に黒いバーが自動的に挿入されます。しかしこの時、作品データの問題に起因してフレームシフトが発生してしまうと、レターボックスまたはピラーボックスの乱れにより、アクティブイメージが画面の中を移動したりジャンプしたりするように誤って表示されてしまい、視聴体験を大きく阻害してしまいます。

フレームシフトは映像作品の品質にとても大きな影響を与え、視聴者には方向感覚を失うといった視覚障害を引き起こす恐れもあります。フレームシフトは作り手が意図しない技術的な問題に起因して発生しますが、この問題に対処するのに必要なことは、編集段階において細心の注意を払うことしかありません。 フレームシフトの発生を防ぐ上で、ビデオフレームの調整作業はとても重要です。ビデオフレーム内でアクティブイメージを正確に配置することで、レターボックスやピラーボックスの位置ズレなど、フレームシフト発生の原因となりえる要素を排除または最小限に抑えることができます。

以下の画像は、フレームシフトが発生した場合のサンプル画像です。

フレームシフトが与える影響

視覚障害の恐れと作品への影響

あまりに激しいフレームシフトは、視聴者に重大な視覚障害を引き起こす恐れがあります。また、再生中の映像作品の予期せぬ突然の乱れは、視聴者を混乱させ、作り手の演出を阻害し、作品とは別の方向に視聴者の注意が向いてしまうことで、ストーリー全体の流れを大きく妨げてしまいます。

作品全体のズレ

ビデオフレーム内においてビジュアルコンテンツ全体の位置がズレてしまった場合には、アクティブイメージが完全に表示されない場合があります。

精度と一貫性

作品が記録されたデータの精度から直接、影響を受けることで、正確で一貫したポジショニングが損なわれてしまい、それにより作品そのものの評価にも悪影響を及ぼしかねません。

フレームシフトの原因

  1. 編集エラー:フレームシフトに繋がるさまざまな要因は編集作業中に発生します。特に、ビデオフレーム内におけるアクティブイメージの配置に関する調整ミスが、フレームシフトの発生原因となります。位置などのプロパティ情報を意図せず変更してしまった結果、ビデオフレーム内でアクティブイメージがズレてしまい、フレームシフトが発生することがあります。
  2. アスペクト比変換:編集中のアスペクト比変換が不正確だったり、作品全体のアスペクト比に一貫性がなかったりした場合に、フレームシフトが発生することがあります。リサイズが正確かつ適切に行われないと、アクティブイメージの位置が乱れてしまうことがあります。
  3. トリミングとリサイズの問題:ビデオコンテンツの不適切なクロッピングやリサイズは、フレームシフトを引き起こす可能性があります。これらの処理中に生じた位置ズレが、意図しないアクティブイメージのズレを引き起こす可能性があります。
  4. 動画と動画のトランジション:アスペクト比の異なる映像の切り替えがシームレスに行われなかった場合、フレームシフトが発生することがあります。アスペクト比の急激な変化は、アクティブイメージの一貫性を阻害してしまう恐れがあります。

フレームシフトを解決するQCソフトウェアの役割

常に変化し続ける映像制作の世界において、フレームシフト(ブランキングシフト)の発生要因を手作業で特定し修正することは、とても時間のかかる困難な作業です。なぜなら、全てのフレームが正しくレンダリングされ置き換えられていることを確認するために、作品全体を入念に検査する必要があるからです。フレームシフトの発生を未然に防ぐためには、問題のあるフレームを漏れなく検出しなければなりません。

そこで、PulsarやQuasarなどのQCソフトウェアが活躍します。映像コンテンツが編集作業から次の作業へと送られる前にQCソフトウェアを使って検証、問題個所を特定し、適切な調整作業を漏れなく実施することで、常に正しいアスペクト比を維持した作品をシームレスに再生することが可能になります。

Venera社のQCソフトウェアは、フレームシフトをはじめ、ビデオコンテンツのさまざまな品質に関する問題を自動で検出するように設計されています。自動でビデオをスキャン、異常や問題個所を検出し、アクティブイメージが作品全般を通して一貫したアスペクト比を維持するのに貢献します。自動QCソフトウェアを採用することで、品質管理のプロセスを合理化し、時間とリソースを節約する一方で、視聴者にはシームレスな視聴体験を保証することが可能になります。

最後に

フレームシフトは、映像作品が記録された「データの品質」が視聴者の視聴体験に大きな影響を与えてしまう技術的な問題です。この問題に対処するには、編集工程における正確な作業と、Pulsar/Quasarのような信頼性の高いQCソフトウェアを使った検出プロセスが必要です。フレームシフトを積極的に検出し修正することにより、作品の芸術性やメッセージ性を阻害しないシームレスで優れた視聴体験の提供を可能にします。