Case Study
導入事例
株式会社デジタルエッグ様は、1992年に設立、TVCM、MV、ウェブ動画やデジタルサイネージなど、さまざまな映像編集をはじめ、映像合成、MA、カラーグレーディング、ビデオエンコード、クローズドキャプション等の工程を通じ、高品質かつ視聴体験に優れたコンテンツを制作されております。
主に制作会社様から受け取るCM素材に対して、MXFのフォーマットチェックをはじめ、パカチェックでお馴染みのHardingチェックを用途として、Pulsar Basicをご利用いただいております。
今回、QCツールの導入に至った経緯や日頃の業務内容について、ビットビジネス部 成瀬様、村橋様、制作技術推進部 小川様よりお話を伺うことができました。
- QCツールの導入をご検討された背景からお聞かせいただけますか?
ファイルベースが進んでいった結果、いよいよ自社で関所機能を持つ必要が出てきたことが一つとして挙げられます。他社が作成した完成原版を弊社でMXFに変換して素材搬入事業者にアップする等の業務がかなり増えてくると予想した時に、それに比例してチェックしなくてはならない項目も増えてきます。
その際に全てを人の目でチェックするよりは、まずは自動的にふるいにかけて、ふるいに残ったものだけを目視で確認する方が効率的ではないか、という背景からQCツールの導入について検討を始めました。
- いくつかQCツールがある中でPulsarを選択いただいた決め手は何でしたか?
実際にPulsar含め他社のQCツールもデモ機を借りて評価させていただきましたが、我々としてはPulsarが一番使いやすかったです。かなり豊富にメニューがあるので、一見複雑そうにみえましたが、一度テンプレートを作成してしまえば、あとは解析したいファイルにそのテンプレートを適用すれば良いだけなので、非常に簡単です。
また、他社での導入事例が既にあったことも大きな後押しになりました。
あとはやはりCambridge Research Systems社のHardingFPAオプションですね。本家Hardingの解析エンジンでガイドラインももちろん同じもので計測ができます。
- Pulsarを日頃の業務でどの様にご活用いただいておりますでしょうか?
制作会社様からCM素材を受け取る際は、基本的にProResで受け取っています。まずそのProResファイルを目視で確認作業を行うと同時にPulsarでもQCしています。
その後、MXFに変換する工程があり、そのあとに再度PulsarでQCをしています。
この時に使用しているのがPulsarのファクトリーテンプレートで用意されているRDD9準拠のテンプレートです。
MXFのフォーマットチェックがこれで出来るので、弊社はこのRDD9準拠のテンプレートをベースに「Hardingチェック」と「黒潜り」を追加して使用しております。
それと、これまでは、ファイルに関して正しく記述されているか否かは、MediaInfoを展開し、その記述が正しければ、その後ファイルを再生して目視する、というフローで行ってきました。しかしながら、Pulsarを導入したことにより、いわゆるパッケージングのチェックとクオリティーの部分のチェックを1回でかつオートマチックに処理を行ってくれるので、日頃の業務効率化にも役立っています。
- Pulsarへの追加機能や改善のリクエストはございますか?
PulsarでQCをかけているコンテンツは主にCM素材なのですが、CMのチェックは非常に厳格です。
音でいうと、AESサンプルレベルで音がこぼれてしまっていないかまで厳しく見る必要があるという認識のもと日々チェックを行っていますが、CM本編の冒頭およびラストの無音部分(ノンモン)が規定値よりも1~2サンプルだけ足りない、というケースに時々遭遇します。
PulsarのTrack Layoutは、民放連で規定されたフォーマット通りにCMが作成されているかを見てくれる非常に有効な機能だと思うのですが、現在の設定の最小単位はミリ秒だけなので、AESサンプル単位の設定や可視化も出来るようになると、先ほどのようなケースのチェックも含め、よりこの機能に任せられることが増えてきますね。
あとは、画面周辺の画足らずの検知が出来る様になると良いですね。ブラックフレームを検知する機能は既にあるのですが、例えば合成に合成を重ねた素材で右端の1ライン、2ラインが欠けるということがあります。これをPulsarで検知出来るようになると助かります。
最後に期待という意味を込めてですが、技術者の主観とPulsarが寄り添えると良いですね。要は、技術者の主観をテンプレートに落とし込むのが難しいと感じることがあります。
Pulsarがエラーと結果を出したとしても、最終的には人の目で見て、OKであればOKとして出しています。ディープラーニング的な要素になってくるとは思いますが、より人の知見に近い解析をしてもらえると助かるかなと思います。
総じて、バージョンアップで改善されたり、リクエストした機能が追加されたりと、海外製品にしては非常に柔軟にユーザーに寄り添ってくれる製品だと感じているので、今後のPulsarの進化に期待しておりますし、我々で何かお手伝いできることがあれば是非協力させていただきたいです。
今回のインタビューの中で、Pulsarを日頃の業務でどの様にご活用いただいているのかお聞きすることができました。また、CM素材がファイル納品への転換期を迎えた時の背景など詳しくお話いただき、非常に貴重なお時間をいただきました。ご多忙にも関わらず、快くインタビューに応じていただきました、成瀬様、村橋様、小川様に、心より御礼申し上げます。
今後もご期待に応えられるような製品へと進化を続ける為に、メーカー共々頑張って参ります。