Case Study
導入事例
アークベル株式会社様(https://www.arkbell.co.jp/)は1991年に創業され、祖業である映像・音響機材のレンタル業務をはじめ、イベント演出に特化したソリューションサービス、ポストプロダクション業務など、映像・音響に関わる様々なサービスを提供されています。
同社では、MXFファイルのフォーマットやデジタルノイズのチェック、ラウドネス測定などの用途で、Venera Technologies社のPulsar Basicをご使用いただいています。
今回、QCツールの導入に至った経緯や日頃の業務内容について、企画制作部 取締役エグゼクティブプロデューサーの柴様、企画制作部プロビデオサービス テクニカルディレクターの中野様よりお話を伺うことができました。
- QCツールの導入をご検討された背景からお聞かせいただけますか?
HDCAM等によるテープ納品からPFDやファイルベースでの納品に移行しつつある時期にかけて、すでに導入していたベースバンドでの映像音声チェックシステムでは存在しなかったデジタルノイズが納品ファイル上には存在している例を、目視チェック中に発見することが多くなっていました。ただ、これは見つけるのが中々難しいノイズだなあ、と正直、感じました。そこで、元々お取引のあった会社様が同じVenera社のQC製品でクラウド版のQuasarを使用していたことから、オンプレ版のPulsarをファイルQCツールの候補として検討し、御社にお問合せさせていただきました。
早速、当該のファイルを御社に持ち込んで試験的にPulsarで検証させてもらったところ、水平アーティファクト※の項目が、お客様から指摘を受けたのと同じタイムコードで問題のノイズを検知してくれたので、そこからすぐに導入への段取りを相談させていただきました。
★水平アーティファクト・・インターレース系の縞ノイズや、ラインノイズ、テープのドロップノイズ系を検知できる機能
- 導入いただいた後もPulsarはご期待に沿える働きをしているでしょうか?
これまで目視で確認しなければならなかった作業を、ある程度まではPulsarにお任せ出来るので大変助かっています。
例えば、2:3プルダウンされた入稿素材で、カット切替わりの前フレームがミックスフレームになっている個所は、トランスコード時にノイズが発生しやすい傾向にあります。これまではカット毎にすべて目視で確認していましたが、Pulsarを導入したことで、どのポイントを重点的にチェックすれば良いか簡単に把握出来るようになり、作業時間が大幅に減りました。
それと、PulsarのHot Folder(ウォッチフォルダ)※はかなり便利ですね!
Hot Folderを連携させればファイルQCの自動化の構築も可能ですし、何より、Pulsarに精通していないメンバーでも、作成した素材を指定されたフォルダに置くだけで、Pulsarが自動でQCを行って結果を提供してくれるので大変助かります。
★Hot Folder(ウォッチフォルダ)・・あらかじめテンプレートを設定しておいたフォルダに解析したいファイルを投入するだけで、Pulsarが自動的にQCを実行します。無事にQCが完了したファイルは「OK」フォルダに、NGファイルは「NG」フォルダに移動されます。メタデータチェック専用のフォルダ、クオリティーチェック専用のフォルダ、Hardingチェック専用のフォルダと、それぞれウォッチフォルダを分けて作成することで、QCに要する時間短縮に繋がります。また、これらのウォッチフォルダ同士を組み合わせることで、QCプロセス全体を自動化することも可能です。
- イベント向けのコンテンツやサイネージのコンテンツに対してもPulsarでQCされていると伺いました。
コロナ禍を経て、弊社の強みは何かと改めて考えてみた時に、所有している機材の多さ、それらの機材のオペレーションスキル、現場経験から蓄えられたノウハウが弊社の強みだと私は考えています。そんな中、今回PulsarやHardingのような機材を使ったクオリティーコントロールを、弊社の新たなサービスの一つとして掲げることにしました。
その理由ですが、「弊社が扱うコンテンツについては、総じて高いクオリティーを担保する」という意識の下、これまで以上に様々なサービスをお客様に提供していきたいと考えたからです。放送用の素材、サイネージの素材、イベントの素材、いかなる素材であっても、弊社が取り扱う以上、そのクオリティーにバラツキがあってはいけません。
PulsarやHardingを使って納品物に対する品質を担保することで、弊社の社員には自信を持ってその作品をお客様に納品して欲しいと思っています。
PulsarやHardingを使って納品物に対する品質を担保することで、弊社の社員には自信を持ってその作品をお客様に納品して欲しいと思っています。
- Pulsarを導入したことで、業務の効率改善やその他の利点はありましたか?
ポストプロダクションにおけるCMやMVの入稿素材チェックについては、現在も基本は人間による目視チェックで運用されていると思います。
弊社では光過敏性発作のリスクチェックツールとしてHarding FPAを導入することに加えて、ニコンシステム様のVQ-BB10といったベースバンドでの映像音声品質チェックツールも運用してきましたが、人間の目視ではどうしても見つけにくいデジタルノイズ、かつベースバンド上ではなくXDCAM向けのMXFトランスコード時に生まれるノイズが問題になるリスクも考え始めているところでした。
もちろん人間の目を介さずに一つのシステムで総合的な品質管理が行えるソリューションがあれば、それは理想なのですが、少なくとも今回Pulsarを導入することにより、多角的チェックに重要な最後のピースを補完できたと思っております。
があれば、それは理想なのですが、少なくとも今回Pulsarを導入することにより、多角的チェックに重要な最後のピースを補完できたと思っております。
- 今後Pulsarに期待されることはございますか?
まずは、ユーザーインターフェースのフル日本語化の正式リリースが待ち遠しいです!
あとは、今後、使用していく上でこういう機能があったら良いな。という事があれば都度リクエストさせていただきます。
これまで使用していたハードウェアのQCツールでは「検知出来ないものは検知できない」と諦めてしまっていましたが、Pulsarの様にソフトウェアだと、日々の情報を基にニーズをキャッチアップしてアップデートのリクエストができるので、その点が今後の楽しみでもあります!
ご多忙の中、今回のインタビューを快く引き受けて下さった、柴様、中野様に、心より御礼申し上げます。今後もご期待に沿える製品になるよう、メーカー共々頑張ってまいります。